July 25, 2008
撫子咲く。
昨晩。
事務所のあるビルの裏口から出たところ、後ろから「もし」と声をかけられた。振り返るととても小柄な老婦人が小箱を持ちカートを引いて寄って来た。カートを見た僕はホテルの場所が分からなくなってしまったのだと思った。それほど上品な装いだったからだ。はい、なんでしょうと答えるとなおいっそう寄って来て箱を差出す。中に桃が4個丁寧に収められていた。「美味しい桃は如何ですか。」
いらないと短く答えると僕はさっさと歩きはじめた。無性に悲しくなった。買わなかった行為が悲しいのではない。その老婦人と出会った事だけが悲しかった。
posted 久多@麩羅画堂 : July 25, 2008 11:33 AM